ガーミン vo2max あてに ならない?研究でわかった推定精度と正しい活用法

ガーミン
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ガーミンのVO2 Max推定値は本当にあてにならないのか

「ガーミンのVO2 Maxって、いまいちあてにならない気がする……」
そう感じたことはありませんか?トレーニングを頑張っているのに、数値が思ったように上がらない。逆に、明らかに調子が悪い日でも数値が変わらない。そんな経験があるなら、あなたの直感は間違っていません。

実はここ数年、GarminのVO2 Max推定値の精度については、複数の独立した学術研究で検証が進められています。その結果は、意外なものでした。単に「あてにならない」と切り捨てるのではなく、どこに問題があって、どのように活用すればいいのかを、研究データをもとに見ていきましょう。

この記事では、ガーミンのVO2 Max推定値がどの程度信頼できるのかを、査読付き学術誌に発表された研究結果をもとに解説します。

そもそもガーミンのVO2 Maxはどうやって推定しているのか

VO2 Maxの正確な測定には、実験室で酸素マスクを着けながらトレッドミルを走る「呼気ガス分析」という方法がゴールドスタンダードとされています。ガーミンはこの方法を使わずに、心拍数と運動強度の関係から間接的に推定しています。

GarminのVO2 Max推定は、Firstbeat Analyticsという企業が持つ特許技術をもとにしています。具体的には、ランニング時は15分以上、屋外でGPSを使いながら、最大心拍数の70%以上の強度で運動したときの心拍数と速度のデータを分析する仕組みです。また、サイクリングの場合は20分以上の運動データに加えて、パワーメーターという専用機器が必須になります。

つまりガーミンの数値は、あくまで「推定値」であり、直接測定された「実測値」ではないという点が、まず押さえるべきポイントです。

研究で明らかになったガーミンのVO2 Max精度

ここからは、独立した学術研究の結果を紹介します。複数の研究で、機種や被験者のトレーニングレベルによって結果が異なることがわかっています。

Forerunner 245の研究:トレーニングレベルでここまで違う

まず、2025年にヨーロッパ応用生理学ジャーナル(European Journal of Applied Physiology)に発表された研究では、Garmin Forerunner 245を使い、35名の被験者を対象に実験室での実測値と比較しています。被験者は全員がランナーで、平均VO2 Maxは60.1と比較的高いレベルでした。

この研究でわかったことは以下のとおりです。

全体平均では過小評価の傾向
全体としてガーミンは実測値より約4〜5 ml/kg/min低い数値を示しました。これは、いわゆる「あてにならない」と言われる原因の一つと言えるでしょう。

トレーニングレベルで精度が大きく変わる
ここが最も重要なポイントです。被験者をトレーニングレベルで分けたところ、中程度のトレーニング者(VO2 Maxが59.8以下のグループ)では誤差がわずか2.8〜4.1%と、非常に正確でした。

一方、高トレーニング者(VO2 Maxが60を超えるグループ)では、実測値より約6 ml/kg/minも過小評価され、誤差は約10%にまで拡大しました。

つまり、あなたのトレーニングレベルが高ければ高いほど、ガーミンの推定値は実際よりも低く出やすいという傾向があるのです。

Forerunner 265の研究:過大評価という逆の結果

次に、Garmin Forerunner 265を使った研究も複数存在します。2025年のMedicine & Science in Sports & Exercise誌に発表された研究では、Forerunner 265はVO2 Maxを有意に過大評価するという結果が出ています。初期の測定で+2.85 ml/kg/min、12週間後には+2.57 ml/kg/minも高く表示されました。

さらに、この研究ではハーフマラソンの予想タイムも検証されていますが、ガーミンの予想タイムは実際のレースタイムより有意に速く算出されることが判明しました。つまり「レースでこのタイムが出せるはず」と期待して挑んだら、現実はもっと厳しかった……というケースが起こりうるのです。

2024年の別の研究では、Forerunner 265の誤差はさらに大きく、実測値42.5 ml/kg/minに対してガーミンは47.3 ml/kg/minと、約16%もの過大評価を示しました。被験者数は13名と少ないものの、統計的にも有意な差が確認されています。

Fenix 6の研究:トレンド追跡に課題

Garmin Fenix 6についても、米国空軍研究機関が2024年に検証結果を発表しています。Garmin Fenix 6の誤差率(MAPE)は9.4%で、これはPolarの12.0%と比べると相対的に良好な数値でした。

しかしここで注目すべきは、「変化を検出できるか」という点です。研究では、トレーニングによって実際にVO2 Maxが+3.19 ml/kg/min向上したのに対し、ガーミンはわずか-0.13の変化しか検出できませんでした。

つまり、たとえトレーニングの効果が出ていても、ガーミンの数値がそれを正しく反映しない可能性があるということです。「全然数値が上がらないから、自分は成長していないんだ」と落ち込む前に、この研究結果を思い出してください。

ガーミンVO2 Maxの「あてにならない」を正しく理解する

なぜこんなに結果がバラバラなのか

ここまで読んで、「機種によって過小評価だったり過大評価だったり、結局どれが正しいの?」と思ったかもしれません。

このバラつきには、いくつかの要因が考えられます。

被験者の特性が違う
Forerunner 245の研究ではエリートアスリートが中心でしたが、Forerunner 265の研究では一般ランナーが含まれている可能性があります。アルゴリズムが想定する「平均的なユーザー」から外れるほど、誤差は大きくなる傾向があります。

機種によってアルゴリズムが違う
Garminは定期的にソフトウェアアップデートを行い、アルゴリズムも改良されています。旧モデルと新モデルで結果が異なるのは、ある意味で自然なことと言えるでしょう。

測定条件の違い
心拍数データの質が精度に大きく影響します。光学式心拍計(手首のセンサー)とチェストストラップでは、取得できるデータの精度が異なります。

それでも活用できるケースがある

ここで重要なのは、「あてにならないから使うな」ではなく、「誰にとって、どのような目的なら使えるのか」を理解することです。

研究結果を総合すると、以下のような目安が浮かび上がってきます。

中程度以下のトレーニング者にとっては「十分役に立つ」
Forerunner 245の研究が示すように、VO2 Maxが60未満のランナーであれば、誤差は3%前後に収まります。トレンドを見るための指標として、十分実用的です。

高トレーニング者は「参考値のひとつ」として捉える
VO2 Maxが60を超えるようなランナーは、ガーミンの数値が実際より低く出る傾向があります。数値を真に受けすぎず、あくまで「体調や調子のひとつの目安」として扱うのがよいでしょう。

レースタイム予想には過信しない
Forerunner 265の研究でわかったように、レース予想タイムは実際より速く算出される可能性が高いです。目標設定の参考にするにしても、余裕を持った計画を立てることをおすすめします。

ガーミンのVO2 Maxをより有効に使うための工夫

チェストストラップの使用を検討する

手首の光学式心拍計は便利ですが、激しい運動中はどうしてもノイズが入りやすくなります。研究では使用されていませんが、より精度の高い心拍数データを得るには、Polar H10などのチェストストラップが効果的です。GarminデバイスとBluetoothまたはANT+で接続できるモデルを選べば、データの質が一段階上がるでしょう。

同じ条件下で継続的に計測する

推定値は絶対値よりも「変化」に意味を見出す使い方が推奨されます。ただし、先述のFenix 6の研究では変化の検出にも課題が指摘されているため、以下のポイントを意識しましょう。

  • 同じコース、同じ時間帯、同じ強度で計測する
  • 気温や風などの外部要因が極端に違う日は参考値として扱う
  • 1回の数値に一喜一憂せず、1〜2週間のトレンドで判断する

自分の感覚とのすり合わせが大切

どんなに高性能なデバイスでも、自分の身体の感覚に勝るものはありません。ガーミンの数値が「今日はいつもより低いな」と感じたら、実際の走りの感覚はどうだったかを振り返ってみてください。疲労が溜まっている日は心拍数が上がりやすく、それが推定値に影響を与えることもあります。

ガーミンVO2 Maxに関するよくある疑問

ガーミンのVO2 Maxは絶対に間違っているの?

研究によると、トレーニングレベルや機種によって結果は大きく異なります。全体として「絶対に間違っている」とは言えませんが、特に高トレーニング者では誤差が大きくなる傾向があります。すべてのケースで正しいわけではない、というのが正確な理解でしょう。

どの機種が一番正確なの?

現時点では、機種間の厳密な比較研究は限られています。Forerunner 245が中程度トレーニング者で良好な結果を示した一方、Forerunner 265では過大評価の報告があります。最新モデルだからといって必ずしも精度が高いとは限らない点に注意が必要です。

正確なVO2 Maxを知るにはどうすればいい?

実験室での呼気ガス分析がゴールドスタンダードですが、専門の施設でしか実施できず、費用もかかります。一般ランナーであれば、ガーミンの数値を「目安」として活用しつつ、レースタイムや日々の感覚を総合的に評価するのが現実的です。

ガーミンVO2 Maxはどう向き合うべきか

「ガーミンのVO2 Max推定値があてにならない」と言われる理由は、研究によって明らかになってきました。しかし同時に、使い方次第では十分に役立つツールであることも、同じ研究が示しています。

重要なのは、数値を絶対視しないことです。ガーミンはあくまで「推定値」を表示しているに過ぎず、あなたの本当の体力やパフォーマンスを完全には反映していません。

特に、以下のような場合は注意が必要です。

  • 高強度のトレーニングを積んでいる上級ランナー
  • レースの目標タイム設定に活用しようとしている人
  • 1回の測定値で一喜一憂してしまう人

逆に、以下のような使い方は有効です。

  • 長期的なトレンドを把握する参考にする
  • 同じ条件で計測して相対的な変化を見る
  • 体調管理のひとつの指標として取り入れる

あなたがガーミンのVO2 Maxを使い続けるなら、それを「絶対的な実力値」ではなく「便利な推定値」として受け入れ、自分の感覚や他の指標と組み合わせて総合的に判断する習慣を身につけてください。

数値が上がらなくても落ち込まない。数値が高くても驕らない。そうしたバランスの良い付き合い方が、ガーミンというツールを最大限に活かすコツなのではないでしょうか。

正確な数値がどうしても必要な場合は、実験室での測定を検討してもよいでしょう。それ以外の多くのケースでは、目の前の数値に振り回されすぎず、自分の身体の声に耳を傾けながら、楽しくトレーニングを続けることが何より大切です。

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